木曜日, 2月 01, 2007

心が動かなければ、人は動かない

ちょっとしたご縁で、日本ファシリテーション協会の副会長でもあり、出版されたばかりの書籍「ザ・ファシリテーター2」著者の森時彦さんとお話をするイベントに参加してきました。
実はもともと「ファシリテーション」という分野は(興味はありましたが)避けていたのですが、このイベントに誘ってくれたKさんと、森時彦さんの著書「ザ・ファシリテーター」「ザ・ファシリテーター2」によって、見方や考え方が大きく変わりました。

そもそも、このイベントに参加するきっかけとしてはKさんの存在が欠かせません。Kさんは、要求開発アライアンスで昨年初めてお会いした方なのですが、会話やアクションを促進する強い力を持っています。そんなKさんの学ぶ「ファシリテーション」とは何だろう、というのが、興味を持ったきっかけでした。

「ファシリテーター」に対するこれまでの自分のイメージは、「テクニックとツールを用いて中立的な立場で会議を促進する」というものでした。私自身はどちらかというと、自分自身で発言をし、引力で場を引っ張るタイプの動き方を得意としていたので、この中立的という部分にこれまでひっかかりを感じていました。しかし、森時彦さんが、著書や今回のイベントで説明しているのは「ファシリタブ・リーダー」つまり、ファシリテーションを活用して組織を動かすリーダーのような人物イメージです。これには強い共感を覚えました。

というわけで、ここからはイベントレポートです。

リーダーズ・インテグレーション Part.1
まずは森時彦さんが会場に来る前に、参加者で森さんについて「知っていること」「知りたいこと」「知らせたいこと」「協力できること」についてポストイットに書き出し、スチレンボードに貼り付けていきます。これを行うことによって、(まだお話もしていない)森さんに対する萎縮が無くなり、その後の講演でも活発な発言が促進されたように思います。
この手法は「ザ・ファシリテーター」でも紹介されているのですが、読むのと体験するのは大違いです。

ワールドカフェ
引き続き、参加者が打ち解けるアイスブレーク効果を狙ってのグループワークです。これがめちゃくちゃ楽しい。ワールドカフェとは、最近IT系のコミュニティでも定着しつつあるグループワークということですが、私はこれが初体験でした。
ルールとしては、

  • 5人ごとのテーブルに分かれて、与えられた問題を解く (ただし10分しかないので途中で時間切れになる)
  • 1人だけテーブルに残って、他のメンバーは別のテーブルに移動
  • 残った1人がまず、新メンバーにこれまでの議論の流れを説明する
  • つづけて、新しい5人で議論を続行する
  • 最後に(今回は3セットで終了)議論の結果を発表する
これは思考方法のトレーニング効果も高いと思いますし、とにかく対話しないと進まないので非常にアクティブな場をつくりだせるワークでした。これも、聞くのと体験するのは大違い。

リーダーズ・インテグレーション Part.2
最初に(森さん不在の状況で)行った質問や意見を見て、今度は森さんが答えるというセッションです。面と向かって手を上げて質問するわけではないので、けっこうトンデモない質問もあり、とても効率的な印象。これは機会を見つけて自分のビジネスでも活用してみなければ、と思いました。
ちなみに私の質問「本を読んだ後、次に学ぶべきこと(読むべき本)はなんでしょう?」については、「実践して成果をあげてください」とのこと。グサリときました。

記念講演「クリスタルシンキング」
最後は押せ押せのため、時間縮小となってしまいましたが、発売されたばかりの「ザ・ファシリテーター2」の内容を中心とした森さんの講演です。発表の中でも、本の中にあるいろいろなテクニック(例えば、うそつき自己紹介など)が活用されていて、単に発表内容を聞くというわけではなく、質疑応答のとても多いセ
ッションになりました。
これも、本で知るのと経験するのでは大違いでした。さっそく自分でも、どこかで真似てみようと考えています。
ちなみに、この記事のタイトルは、「ザ・ファシリテーター2」のオビにも書いてあり、今回の講演のテーマでもある
心が動かなければ、人は動かない。
人が動くのを待っていては、組織は勝てない。

からいただいています。

その他
次のキーワードが心に残っています。これは、またどこかで調べてみようと考えています。

  • Change Acceleration Process

  • GEのワークアウト … 生産性を高める為に、ワークをアウトする(仕事量を減らす)。

  • ジャック・ウェルチの凄さ … シックス・シグマの日本適用について、ウェルチから送られてきたFAX。



所感
じつは私は(これはいつか詳しく書くつもりですが)学生時代に演劇を志していたことがあり、そこでいろいろと「人を動かす(または感動させたり、笑わせる)」ことを考えたりトレーニングしていたことがあります。この時に得た能力でこれまで食ってきたといっても過言ではない(汗)のですが、今になって「ファシリテーション」ととても近い部分もあることに気づかされました。
今回の機会を大事にして、より活力ある仕事をするために、「ファシリテーション」をしっかりと取り込んでみたいと考えています。

会場で最後に「ファシリテーションで日本の企業に活力を!」と、森さんにサインをしてもらいました。

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