木曜日, 2月 15, 2007

発言を発信者から切り離す

2月13日に田町で行われた「ファシリテーション・グラフィック」に関する催しに参加してきました。
「ファシリテーション・グラフィック-議論を「見える化」する技法」の著者である加藤 彰さんを招いてのワークショップです。直前の告知にも関わらず、60人以上(推定)の参加者が集まって、仕事帰りにワイワイとA3白紙に絵を描いたり線を引いたり色を塗ったり、と今書いてみるとそうとう怪しげな会みたいですが、そんな楽しいワークショップでした。

今回のワークショップのポイントは「本を読んでも実際に一人で練習をすることは、やりにくい(それに怪しい)。だから、今日はこの場でおもいっきり練習しよう」というものです。というわけで、加藤さんの講演というよりは、ポイントを聞いた後はすぐに実習。具体的には、会議やディスカッションのような台本を加藤さんが読み上げるので、各人がその場で議論の内容を書く。そしてテーブル毎に発表と意見交換をする、という形式でした。
こうやって書くと楽しげですが、実際にはかなりスパルタです。というか、苦行、荒行です。なぜなら、時間も無ければ、内容も相当にむずかしいのです。
とはいえ、おかげさまで、私の書いた内容もそれっぽいものになりました。

上がBEFOREで、下がAFTERです。



話し合いを見える化する効果
ファシリテーション・グラフィックはまさにホワイトボードや模造紙に議論を書き出して、議論を見える化するテクニックです。この効果を加藤さんは次のようにまとめています。

  • プロセスの共有
    • わかりやすくなる
    • ポイントに集中できるようになる
    • 共通の記録として利用できる
  • 参加の促進
    • 発言が定着することにより安心感を得られる
    • 発言を発信者から切り離すことができる
    • 議論に広がりを与える
特に何度もくりかえされたのは「発言を発信者から切り離す事」。会議などで人対人の議論となってしまうことはよくありますが、文字として書き出す事により、発言者の属性を切り離してしまう効果があるいうことです。そのためには、議事録のように発言者の氏名などは書かないのがコツとのこと。

楽しく、わかりやすく
もうひとつ印象に残ったというか、学んだのは「習得には練習あるのみ」ということです。
例えば重要な意見を目立たせたり整理をするために書く枠線や矢印も、ちょっとした工夫でとても見やすくなります。また、アイコンをさらっと書く事によって、会議の雰囲気を活発にすることもできるとのこと。

これは私のメモですが、加藤さんは本当にサラッと一瞬でいろいろと書き上げることができます。これはひとえに修練のたまもので、「手が早くうごくようにすること」がコツだそうです。

また、私のメモは黒一色ですが、実際には何色ものプロッキーを使う事をすすめられました。また、ホワイトボードですと3〜4色になってしまうため、模造紙の利用がオススメとのこと。模造紙では書いた字を消す事はできませんが、文字が見やすく発色も良いためだそうです。

世の中まだまだ学ぶ事がある。
全体で約2時間の内容でしたが、とても得るものが多い催しでした。どんな仕事をしていても、絶対に人と人とのコミュニケーションは避けられません。それに、社会の中で立場をステップアップするにしたがって、コミュニケーションを取る相手の人数も増え、準備や対策を取る時間もどんどん少なくなって行きます。その時に、今回のような技能や発想をいかに多く身に付けているか、が勝負の分かれ目なのかもしれません。

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