土曜日, 2月 17, 2007

Developpers Summit 2007

今年も無事に参加することができました。翔泳社さんの技術者向け無料イベント「デブサミ2007」です。いまどき技術情報はネットでいくらでも得られる時代です。そんな中でわざわざ足を運んでライブで話を聞くのは時代逆行とも言えますが、個人的にはむしろこの時間の過ごし方が差をつけるような気がしています。

以下、特に記憶に残ったセッションのレポートです。

■【14-B-7】「出張Shibuyaイベント」
じつは今回いちばん気にしていたのはこのセッションでした。
Shibuya.pmといえば、Shibuya Perl Mongers
Plaggerなどで有名な宮川さんが立ち上げたコミュニティ。
個人的には、技術的な事よりLightning Talksと呼ばれる独特の発表スタイルに興味がありました。
サンフランシスコからの宮川さんLive中継(発表内容は、さっき作ったモジュール紹介などナイスなノリ)、最速インターフェース研究会やLivedoor Readerなどで有名なml.laさんの出るパネルDISカッション( Technologies for UIの話は素敵)、そしてLightning Talks×7人と盛りだくさんな内容です。
Lightning Talksはそのパワーとスピードに感動。プレゼンテーションテクニックとしても学ぶことの多いセッションでした。

■【15-B-1】Googleを支える大規模分散システム / Google における開発プロセス
これも興味深いセッションです。携帯から路線検索の出来るGoogleトランジットを例にした、Google開発プロセスの説明と、Googleの主要なサービスを支えるBigTableと呼ばれるストレージ管理技術の二本立て説明。前者の開発プロセスはGoogleの強さや独自性、文化の大切さを感じました。特に何度も出て来た「いかにして車輪の再発明を防ぐか」が印象に残っています。また、後者は商用RDBを作らずに独自の多元データ管理システムを開発してしまっている話なのですが「必要なものは自分たちで作るという哲学」「過度な抽象化を避ける(汎用化を追求しない)」という発想が興味深い。
簡単にはマネ出来ないハッカー文化的強さを印象づけるセッション。

■【15-A-3】成長企業におけるエンジニア進化論 君は生き延びることができるか?
サイボウズ副社長(退任されるそうですが)で、フィードパス取締役の津幡靖久さんの、サイボウズの経験などを踏まえたエンジニア論。エンジニアではない津幡さんが「何を話しても良いといわれたので、好きな事を話す」というセッション。経営の立場から、エンジニアに熱くメッセージを語っていただくような内容でした。
「Microsoft,Apple,Googleは憧れの対象ではない。目指すものである」
「現状の国内ソフトウェア業界は、法規制が無いため、ゼネコン以下である。非常に低いレベルである。今後の産業作りを考える必要がある」
などなどの熱いトークに、じつはけっこう引き込まれてしまいました。
事前にあまりチェックしていなかったのですが、かなり心に響く内容でした。

■O-Oneディベート大会番外編「エギジビションマッチ」
エンジニアによるディベート大会O-One番外編ということで、過去の優勝者VS特別ゲストという構成。ディベート力は重要だということを考えさせる内容でした。事前に決められたテーマについて直前に「賛成」「反対」の立場を与えられ、論じるという形式が良いです。携帯のjigブラウザが有名なjig.jpの福野さんのトークは携帯アプリ論も飛び出す熱いものに!
ちょっと次回も見たいコミュニティライブイベントでした。

今年はいろいろと条件が揃い、無事に参加することができました。
来年も参加できると良いのですが、毎年平日開催というのがちょっと厳しいなぁ〜。

木曜日, 2月 15, 2007

発言を発信者から切り離す

2月13日に田町で行われた「ファシリテーション・グラフィック」に関する催しに参加してきました。
「ファシリテーション・グラフィック-議論を「見える化」する技法」の著者である加藤 彰さんを招いてのワークショップです。直前の告知にも関わらず、60人以上(推定)の参加者が集まって、仕事帰りにワイワイとA3白紙に絵を描いたり線を引いたり色を塗ったり、と今書いてみるとそうとう怪しげな会みたいですが、そんな楽しいワークショップでした。

今回のワークショップのポイントは「本を読んでも実際に一人で練習をすることは、やりにくい(それに怪しい)。だから、今日はこの場でおもいっきり練習しよう」というものです。というわけで、加藤さんの講演というよりは、ポイントを聞いた後はすぐに実習。具体的には、会議やディスカッションのような台本を加藤さんが読み上げるので、各人がその場で議論の内容を書く。そしてテーブル毎に発表と意見交換をする、という形式でした。
こうやって書くと楽しげですが、実際にはかなりスパルタです。というか、苦行、荒行です。なぜなら、時間も無ければ、内容も相当にむずかしいのです。
とはいえ、おかげさまで、私の書いた内容もそれっぽいものになりました。

上がBEFOREで、下がAFTERです。



話し合いを見える化する効果
ファシリテーション・グラフィックはまさにホワイトボードや模造紙に議論を書き出して、議論を見える化するテクニックです。この効果を加藤さんは次のようにまとめています。

  • プロセスの共有
    • わかりやすくなる
    • ポイントに集中できるようになる
    • 共通の記録として利用できる
  • 参加の促進
    • 発言が定着することにより安心感を得られる
    • 発言を発信者から切り離すことができる
    • 議論に広がりを与える
特に何度もくりかえされたのは「発言を発信者から切り離す事」。会議などで人対人の議論となってしまうことはよくありますが、文字として書き出す事により、発言者の属性を切り離してしまう効果があるいうことです。そのためには、議事録のように発言者の氏名などは書かないのがコツとのこと。

楽しく、わかりやすく
もうひとつ印象に残ったというか、学んだのは「習得には練習あるのみ」ということです。
例えば重要な意見を目立たせたり整理をするために書く枠線や矢印も、ちょっとした工夫でとても見やすくなります。また、アイコンをさらっと書く事によって、会議の雰囲気を活発にすることもできるとのこと。

これは私のメモですが、加藤さんは本当にサラッと一瞬でいろいろと書き上げることができます。これはひとえに修練のたまもので、「手が早くうごくようにすること」がコツだそうです。

また、私のメモは黒一色ですが、実際には何色ものプロッキーを使う事をすすめられました。また、ホワイトボードですと3〜4色になってしまうため、模造紙の利用がオススメとのこと。模造紙では書いた字を消す事はできませんが、文字が見やすく発色も良いためだそうです。

世の中まだまだ学ぶ事がある。
全体で約2時間の内容でしたが、とても得るものが多い催しでした。どんな仕事をしていても、絶対に人と人とのコミュニケーションは避けられません。それに、社会の中で立場をステップアップするにしたがって、コミュニケーションを取る相手の人数も増え、準備や対策を取る時間もどんどん少なくなって行きます。その時に、今回のような技能や発想をいかに多く身に付けているか、が勝負の分かれ目なのかもしれません。

月曜日, 2月 12, 2007

要求開発アライアンス 2月度定例会に行ってきました

正確には行ってきました、というより無事に開催完了しました、という感じです。なぜなら私が司会・構成だから(爆)。というわけで、私が執行委員という立場で参加している要求開発アライアンスの2月定例会に参加しました。

今回は、要求開発アライアンスの理事長でもあり、株式会社豆蔵の代表取締役副社長である山岸さんの講演がメインです。
題して『要求開発―上流を攻略するための工学的アプローチ 』。これは、2006年12月に開催されたITアーキテクトサミットの講演の再演になります。
後で聞きましたが、ITアーキテクトサミットでは時間が足りなかったということなので、今日は1時間30分にわたって、山岸さんの想いもふくめて大いに語っていただくという贅沢な内容です。
詳細な資料は、要求開発アライアンスのサイトでも公開することになると思いますので、ここでは講演の中でも心に残った事をとりあげたいと思います。

ビジネスに適用されはじめる「要求開発」
実際のところ「要求開発」は豆蔵さんやウルシステムズさんが中心ではありますが、ビジネス適用が始まっているそうです。
今回の発表テーマは比較的古典~つまり、3年ほど前から要求開発アライアンスで提言・議論されてきている内容~だったのですが、実際の実業務適用が始まっているというところで、様々な経験談や事例が興味深いところです。
「上流の要求開発」つまり、ビジネスアイデアがまずはじめに存在し、それを検証するアプローチの要求開発と、「下流(?)の要求開発」例えば基幹系システムの再構築のような、ふたつのアプローチへの二分化が進んでいるということです。
これまでの定例会では比較的「上流の要求開発」のイメージで話題になりがちだったのですが、実際に現代日本企業が直面している基幹系更改のような問題に対して「下流(?)の要求開発」のとりうるアプローチを研究するということも、かなり重要なテーマであるように思います。

「要求開発」せずにシステム開発は野蛮?
さすがにイマドキ、設計をせずにいきなりコーディングという開発スタイルは野蛮に感じられます。っていうか、あたりまえですね。
しかし、山岸さん曰く、同様に「要求開発」をせずにITプロジェクトに突入するのも、いちど「要求開発」を経験してしまうと非常に野蛮に感じるようになる、というところも興味深いコメントでした。

おまけ
私の発表は、山岸さんの発表時間が押したのでさらっと。勢いだけの発表ですいませんでした。今回のテーマは「オブジェクト倶楽部に勝つ」(うそ)


木曜日, 2月 01, 2007

心が動かなければ、人は動かない

ちょっとしたご縁で、日本ファシリテーション協会の副会長でもあり、出版されたばかりの書籍「ザ・ファシリテーター2」著者の森時彦さんとお話をするイベントに参加してきました。
実はもともと「ファシリテーション」という分野は(興味はありましたが)避けていたのですが、このイベントに誘ってくれたKさんと、森時彦さんの著書「ザ・ファシリテーター」「ザ・ファシリテーター2」によって、見方や考え方が大きく変わりました。

そもそも、このイベントに参加するきっかけとしてはKさんの存在が欠かせません。Kさんは、要求開発アライアンスで昨年初めてお会いした方なのですが、会話やアクションを促進する強い力を持っています。そんなKさんの学ぶ「ファシリテーション」とは何だろう、というのが、興味を持ったきっかけでした。

「ファシリテーター」に対するこれまでの自分のイメージは、「テクニックとツールを用いて中立的な立場で会議を促進する」というものでした。私自身はどちらかというと、自分自身で発言をし、引力で場を引っ張るタイプの動き方を得意としていたので、この中立的という部分にこれまでひっかかりを感じていました。しかし、森時彦さんが、著書や今回のイベントで説明しているのは「ファシリタブ・リーダー」つまり、ファシリテーションを活用して組織を動かすリーダーのような人物イメージです。これには強い共感を覚えました。

というわけで、ここからはイベントレポートです。

リーダーズ・インテグレーション Part.1
まずは森時彦さんが会場に来る前に、参加者で森さんについて「知っていること」「知りたいこと」「知らせたいこと」「協力できること」についてポストイットに書き出し、スチレンボードに貼り付けていきます。これを行うことによって、(まだお話もしていない)森さんに対する萎縮が無くなり、その後の講演でも活発な発言が促進されたように思います。
この手法は「ザ・ファシリテーター」でも紹介されているのですが、読むのと体験するのは大違いです。

ワールドカフェ
引き続き、参加者が打ち解けるアイスブレーク効果を狙ってのグループワークです。これがめちゃくちゃ楽しい。ワールドカフェとは、最近IT系のコミュニティでも定着しつつあるグループワークということですが、私はこれが初体験でした。
ルールとしては、

  • 5人ごとのテーブルに分かれて、与えられた問題を解く (ただし10分しかないので途中で時間切れになる)
  • 1人だけテーブルに残って、他のメンバーは別のテーブルに移動
  • 残った1人がまず、新メンバーにこれまでの議論の流れを説明する
  • つづけて、新しい5人で議論を続行する
  • 最後に(今回は3セットで終了)議論の結果を発表する
これは思考方法のトレーニング効果も高いと思いますし、とにかく対話しないと進まないので非常にアクティブな場をつくりだせるワークでした。これも、聞くのと体験するのは大違い。

リーダーズ・インテグレーション Part.2
最初に(森さん不在の状況で)行った質問や意見を見て、今度は森さんが答えるというセッションです。面と向かって手を上げて質問するわけではないので、けっこうトンデモない質問もあり、とても効率的な印象。これは機会を見つけて自分のビジネスでも活用してみなければ、と思いました。
ちなみに私の質問「本を読んだ後、次に学ぶべきこと(読むべき本)はなんでしょう?」については、「実践して成果をあげてください」とのこと。グサリときました。

記念講演「クリスタルシンキング」
最後は押せ押せのため、時間縮小となってしまいましたが、発売されたばかりの「ザ・ファシリテーター2」の内容を中心とした森さんの講演です。発表の中でも、本の中にあるいろいろなテクニック(例えば、うそつき自己紹介など)が活用されていて、単に発表内容を聞くというわけではなく、質疑応答のとても多いセ
ッションになりました。
これも、本で知るのと経験するのでは大違いでした。さっそく自分でも、どこかで真似てみようと考えています。
ちなみに、この記事のタイトルは、「ザ・ファシリテーター2」のオビにも書いてあり、今回の講演のテーマでもある
心が動かなければ、人は動かない。
人が動くのを待っていては、組織は勝てない。

からいただいています。

その他
次のキーワードが心に残っています。これは、またどこかで調べてみようと考えています。

  • Change Acceleration Process

  • GEのワークアウト … 生産性を高める為に、ワークをアウトする(仕事量を減らす)。

  • ジャック・ウェルチの凄さ … シックス・シグマの日本適用について、ウェルチから送られてきたFAX。



所感
じつは私は(これはいつか詳しく書くつもりですが)学生時代に演劇を志していたことがあり、そこでいろいろと「人を動かす(または感動させたり、笑わせる)」ことを考えたりトレーニングしていたことがあります。この時に得た能力でこれまで食ってきたといっても過言ではない(汗)のですが、今になって「ファシリテーション」ととても近い部分もあることに気づかされました。
今回の機会を大事にして、より活力ある仕事をするために、「ファシリテーション」をしっかりと取り込んでみたいと考えています。

会場で最後に「ファシリテーションで日本の企業に活力を!」と、森さんにサインをしてもらいました。