水曜日, 2月 20, 2008

SHELLモデル

前回のエントリに引続き、クルーリソースマネジメント(CRM)の話題です。

機長のマネジメント―コックピットの安全哲学「クルー・リソース・マネジメント」

本書の中で紹介されているSHELLモデルが個人的にはとても気に入っています。というわけで、今回はSHELLモデルに関する話です。
SHELLモデルとは、KLMオランダ航空のパイロットであるHawkinsさんが提唱したもののようです。分野としては、人間工学(ヒューマンファクター工学)で論じられるものらしい。


  • 中心のL = Liveware すなわち人間
  • S = Software 作業手順や規則、規定のたぐい等
  • H = Hardware 関連する機械、設備、使用機器、道具等
  • E = Enviroment 物理的環境(空調、照明、騒音等)だけではなく、気象現象や社会環境など、仕事や行動に影響を与えるすべての環境を含めて考える
  • L = Liveware あなたが接しなければならない、あなた以外の人。対人関係
  • それぞれの要素が噛みあっていない箇所では、ヒューマンエラーが発生する。
クルーリソースマネジメント(CRM)では、このモデルを用いて中心にある人間のパフォーマンスの最大化を試みるものです。
このSHELLモデルは出自の関係からか、航空分野を中心にしか利用されていないようです。

ITシステム開発では、関連する話題として、次のようなものが個別にありますが、現時点では統合的な捉え方がされていないように考えています。
  • アジャイル開発のプラクティスでは、人と人および、人と道具(SHELLにおけるHardware)の関係を中心に論じている (ex.「プロセスやツールよりも、人と人との交流を」「アジャイルツール(Wiki,バージョン管理,ユニットテスト,ビルドの自動化)の活用」)。
  • プロジェクトファシリテーションでは、人と人(プロジェクトチーム)の生産性の最大化を中心に論じている。
  • 開発プロセス論やテスト方法論では、規約(SHELLにおけるSoftware)による作業管理や品質保証について論じている。
  • ピープルウェアといった書籍等は、物理的環境(SHELLにおけるE)と、人との関係について論じている。
最終的なゴールとしては、SHELLの各要素を統合した上で生産性の向上や最大化について論じるべき、というのは直感的にも非常にわかりやすいと考えています。

というわけで、次にプロジェクトを立ち上げる時には、SHELLモデルを中心に計画を行おうと考える今日この頃です。

0 件のコメント: