SHELLモデル
前回のエントリに引続き、クルーリソースマネジメント(CRM)の話題です。
本書の中で紹介されているSHELLモデルが個人的にはとても気に入っています。というわけで、今回はSHELLモデルに関する話です。
SHELLモデルとは、KLMオランダ航空のパイロットであるHawkinsさんが提唱したもののようです。分野としては、人間工学(ヒューマンファクター工学)で論じられるものらしい。
- 中心のL = Liveware すなわち人間
- S = Software 作業手順や規則、規定のたぐい等
- H = Hardware 関連する機械、設備、使用機器、道具等
- E = Enviroment 物理的環境(空調、照明、騒音等)だけではなく、気象現象や社会環境など、仕事や行動に影響を与えるすべての環境を含めて考える
- L = Liveware あなたが接しなければならない、あなた以外の人。対人関係
- それぞれの要素が噛みあっていない箇所では、ヒューマンエラーが発生する。
このSHELLモデルは出自の関係からか、航空分野を中心にしか利用されていないようです。
ITシステム開発では、関連する話題として、次のようなものが個別にありますが、現時点では統合的な捉え方がされていないように考えています。
- アジャイル開発のプラクティスでは、人と人および、人と道具(SHELLにおけるHardware)の関係を中心に論じている (ex.「プロセスやツールよりも、人と人との交流を」「アジャイルツール(Wiki,バージョン管理,ユニットテスト,ビルドの自動化)の活用」)。
- プロジェクトファシリテーションでは、人と人(プロジェクトチーム)の生産性の最大化を中心に論じている。
- 開発プロセス論やテスト方法論では、規約(SHELLにおけるSoftware)による作業管理や品質保証について論じている。
- ピープルウェアといった書籍等は、物理的環境(SHELLにおけるE)と、人との関係について論じている。
というわけで、次にプロジェクトを立ち上げる時には、SHELLモデルを中心に計画を行おうと考える今日この頃です。
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