勝間本ブームで産消逆転は加速するか
最近、日経IT Pro Watcherでもコラム「針路IT」を連載されている、田中克己さんの書籍「IT産業崩壊の危機―模索する再生への道のり」を読んでいます。で、本書の論旨とはちょっと外れているのかもしれませんが、産消逆転という話が面白かったので取り上げてみます。
ここで言う産消逆転とは、もともとは野村総合研究所の村上輝康理事長の発言によるものということですが、
- 産業界では、コンプライアンス対応や内部統制に注力した結果、IT活用が大きく遅れる
- 消費者サイドでは、ブロードバンド化、モバイル化、電子マネー、指紋認証etcのりようが進み、IT化が大きく進んでいる
これは確かにそうで、実際に職場のIT環境に比べたら自宅のほうがリッチな人というのは案外多いんじゃないでしょうか。私もつい最近、自宅環境を20インチのiMacに変更し、ネットワークはフレッツ光。人との連絡はSkypeとTwitter、Mixiを使い、メールはGMail、文書作成はGoogleドキュメントを使っています。まぁ、これは極端な例としても、「自宅では○○が出来るのに、会社ではできない」と思う人はけっこう多いのではないでしょうか。「なんで会社では○○出来ないの? ネットだと簡単に○○できるのに」
そして、最近ブームの勝間本がこの流れを加速していきそうな気がしています。例えば話題のコレです。
ご存知の方も多いとおもいますが、MixiやGMail、Googleドキュメントを初めとするオンラインツールなどを存分に活用する方法を説明していきます。今までは一部のアーリーアダプターが使っていたこれらのサービスなどが、一気にマジョリティを獲得しそうな予感があります。
そうするとどうなるか。
企業内では今まで無視できた、マニアックな利用者の「なんで会社では○○出来ないの? ネットだと簡単に○○できるのに」という声が、無視できなくなってくるのではないでしょうか。
- 会社のメールボックスは何で容量制限あるんだ? GMailはほとんど無制限なのに。
- WordやExcelを購入する必要あるのか? Googleドキュメントで十分なのに。
- なんで、社内の情報は検索できないんだ?
とはいえ、これは一つのチャンスでもあり、「針路IT:内向きなIT投資が招いた“産消逆転”」に書かれているような内向き・防衛スタイルの情報戦略を、差別化目的の情報戦略に転換するチャンスであるかもしれません。
産消逆転をもういちど逆転することができるのか、逆にさらに大きく引き離されてしまうのか、ちょっと興味深いなぁと思った次第です。
IT産業崩壊の危機―模索する再生への道のり
posted with amazlet on 08.02.07
田中 克己
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2 件のコメント:
なおきと申します。
残念ながらそうは簡単にはならない、と思います。
日本のCIOの最大関心事は、セキュリティである内部統制です。ネット上の無料サービスの利用には、この問題をクリアしなければなりません。
なおきさん
コメントありがとうございます。
なおきさんの指摘のように、ネット上の無料サービスを社内利用させろ、ということにはならないと思います。
しかし、ネット上の無料サービスで利用者は「新しいIT活用の形」を体験してしまうわけで、そういったユーザが増えることにより企業の情報システムの進化は促されるのではないかと考えています。
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