水曜日, 10月 10, 2007

システム開発は製造系じゃなくて創造系じゃないか

妄想ですが考えている事を書いてみるエントリです。

システム開発プロジェクトは「設計」や「製造(コーディング)」をし、「テスト」をします。これはモノ作りの現場、例えば自動車メーカーなどの製造業に例えられます。というわけで一般的にはシステム開発はモノ作りの一種と認識され、運用されています。プロジェクトの規模にもよりますが、全体のQCD(コスト、品質、スケジュール)をプロジェクトマネージャが管理し、全体設計をITアーキテクトと呼ばれる設計リーダーが担当する。その下に、設計者や製造者(プログラマ)、テスターがぶら下って一つのチームでシステム開発を行うのが一般的なイメージ。

しかし、モノ作りではこれらの「人」に加えて「材料」や「工具」が必要ですが、システム開発プロジェクトではほとんど「人」だけで作業を行っています。そして最終製品も開発が終了するまでは曖昧であり、途中で最終形を確認することはできませんし、プロジェクトの途中で最終形がまったく違ったものに変化する事もあります。つまり、モノ作りとしては非常にコントロールがしにくい。

このコントロールしにくい、不定形なプロジェクトをモノ作りと同様に管理するのは限界があるのではないかと考えています。

例えば、映画や演劇、オーケストラのような創造系のプロジェクトのようにはマネジメントできないか。
これらのプロジェクトはほとんど「人」主体で進む点と、「結果があいまいで評価しにくい」という意味で、システム開発プロジェクトに似ていないでしょうか。

創造系のプロジェクト体制は例えば次のような形になるでしょう。

■作家/脚本家/音楽家
プロジェクトの骨格となるストーリーを考えます。共感できる背景や思想を持って、プロジェクトが成功するためのストーリーを考える役割です。出来上がるシステムの骨格(使われ方や重要なポイント)などを観客(ユーザ)から見て考える役割です。

■演出家/指揮者
脚本や楽譜を元に、メンバーをひとつにまとめてシステムの肉付けを行います。単なるマネジメントではなく、メンバーの能力を最大限に引き出し、かつ自分なりの解釈でシステムの肉付をしなければいけません。もちろん仕上がりの品質への責任もあります。もちろん全ての作業工程を知っている必要があります(楽譜が読めなかったり、楽器の出来ない指揮者はいませんよね)

■プロデューサー
プロジェクトを外部から守り、維持します。資金を調達したり、メンバーを集めスケジュール調整もします。外部から見てプロジェクトの最高権限者ですが、内部から見ると守護者となります。

■舞台監督
メンバーの能力を最大限に生かし、脚本を活かす為の舞台を作る人です。システム開発で言えばアーキテクトと呼ばれる立場に近いかもしれません。

■メンバー
プロジェクトの主役です。役柄については主演・助演などの序列はあるかもしれませんが、全員が舞台上で活躍するという意味では等しく重要です。自分だけが目立つのではプロジェクトは成功しませんので、お互いの相互関係に強く留意する必要があります。

こういう構成のプロジェクトであれば、素晴らしい成果が出せると思うのですがどうでしょうか?
(ちなみに、書いているうちにIDEOのことを思い出しました)

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