10/3にPFP関東WS#8に行ってきました。プロジェクトファシリテーションに関するワークショップです。参加者は20名くらい。メインは「プロジェクトファシリテーション入門 PFP関西合宿濃縮還元版」でしたが、それ以外にもいろいろと盛りだくさんで、たくさんの「気づき」を貰える内容でした。というわけで、後で自分で読みかえす目的もありますが、内容をレポートしたいと思います。
■ファシリテーションの重要性
今回はPFP関東としては初めて、豆蔵さんの会議室を借りたということで、最初に豆蔵の羽生田会長にお話いただきました。10分程度ですが、非常に濃い話で個人的には非常に感動。
- これまではエンジニアリングの観点で、S/W技術やPMを中心に活動していた。これは、ProductからPorcessまでの実現に関わる領域である。
- しかし、顧客の要請(関心)は「問題やビジネス課題そのものの解決」に移ってきている。また、多種多様な「ステークホルダの合意プロセス」なども視野に入ってきている。これはS/W技術やPMのような実現技術ではなく、企画の領域である。
- この4象限を繋ぐキーワードが「見える化(モデリング)」と「ファシリテーション」ではないか?
というような内容を、ホワイトボードを使ってサラサラと説明いただきました。この内容は個人的な自分の現在の興味とビシッとハマってしまい、感動です。いろいろと普段から悩みがあるのですが、勇気を持って、ビジネスモデリングとファシリテーションの学習を続けていきたいと考えています。
なお、羽生田さんのプレゼンテーションそのものも、とても参考になりました。内容だけでなく発表の構造も含めて、短時間でためになるセッションでした。
■TOCに興味が出てきた次は、
アジャイルプロセス評議会 TOCワーキンググループにも参加されている進藤さんの事例紹介です。JudeやTRICHORDなどのおなじみツールの紹介もありましたが、やはり興味深いのはTOC関連の思考フレームワークでした。特に興味深かったのはODSCです。
- ODSCとは
- Objectives(目的)
- Deliverables (成果物)
- SuccessCriteria (成功要件)
- プロジェクトやタスクを定義する際に、上記ODSCを明記して作業を行う。
- 成功要件を定義するので、作業中の意思決定をするときの判断がしやすい印象があります。また、わかりやすいのですぐにでも使える気がします。
PFP関東WSでは毎回必ず事例発表があるのですが、ホンで読んだ理論や技法も実際に活用されている人の言葉で聞くと、とてもわかりやすく、また実践のヒントになります。
■プロジェクトファシリテーション入門 PFP関西合宿濃縮還元版
最後は串田さんファシリテートによるワークショップです。発表資料はWikiに公開されているので興味のある方はどうぞ。というわけで、ここではワークショップの中身についてレポートします。
今回のお題は「どうすればプロジェクトが成功するか」についてグランドルール(問題vsわたしたち、見える化、カイゼン、笑顔)を守って議論を行うというもの。対象のプロジェクトも自分達で選ぶことができます。
- くじ引き
- まず最初にカラーペンを全員に配り、4分間で1対1の自己紹介を行い、共通のキーワードが見つかったらペンを交換するという方法でアイスブレーク&シャッフル。
- 「わたしはSIerでPMやってます」「私も組込み系のPMです」⇒成立!交換!
- 「結婚して8年目です」「私も1999年に結婚した!」⇒成立!交換!
- 同じ色のペンを持つ人で1グループ。今回は5人×4グループにわかれます。
- 真っ白な模造紙が配られます。あとはペンと付箋。さあ開始!(げげっ)
- ゴール決定
- とりあえず全員で1分間考えて発表し、その中で楽しそうなプロジェクトを選ぶことにしました。私のいたグループで出てきた案は次の通り
- 検討
- われわれのグループでは、さきほどの事例発表にあったODSCを使ってまずゴールと成果物、成功条件を分析してみました。
- ゴール(O)…全ての国に行く ⇒ さらに明確に「一人で国連加盟国(または何らかの本/Wikipediaに掲載されている)に行く」
- 成果物(D)…パスポートのVISA・スタンプ、日記、写真などのキロク
- 成功条件(SC)…できるだけ短時間で実施し、ギネスブックに申請する
- このODSCを意識しながら、プロセスをブレークダウンしていきます。
- あとは皆でアイデアや意見を出していくのですが、TOCの思考プロセスを活用して後工程から順に追っていきました。具体的にはこんな順番です。
- 帰国してギネスブックに申請する
↑
<ループ終端(全ての国を巡るまで)>
入国する
↑
出発する
<ループ始端(全ての国を巡るまで)>
↑
準備する
- それぞれのプロセスについてのアイデアや問題を付箋に書き込み、プロセスのまわりに貼っていきます。例えば、
- 資金はどうするか? → 各地で働いて稼ぐ?(大道芸?) → 成功条件(できるだけ短期に)に違反 → 事前に資金準備が必要!
- 入国できない(トラブル、不許可)時はどうする? → 途上で計画を変更する必要あり
- ケガや病気の発生には → 国によっては対応困難 → ある程度の医療知識を事前に習得必要
- 特によかった点としては、最初につくったODSCによって、各種課題やアイデアの取捨選択がすぐにできたこと。資金調達などは、短期間で行動する成功条件を満たす為には旅行中に行うべきではなく、事前に十分な資金調達をしておく事が重要、というような判断がつきやすかった
- 発表
- 最後に各チームで発表を行い終了。最後にKPTを参加者全員で考えて終わりました。
ここまででちょうど2時間。非常に密度の濃い時間の過ごし方でした。
■書籍紹介
今回はどのセッションでも書籍紹介がありました。発表時に「お気に入りの本や参考書」を持ってきて、回覧するのは良いアイデアだと思います。これはいつかやってみよう!
羽生田会長ご推薦
進藤さんご推薦
■ファシリテーションの練習のためのPFP WS
個人的には、PFPの場を「ファシリテーション的行動の練習の場」として捉えています。ワークショップには、PF初参加の方もいれば、よくわかっている人もいます。会社でいきなりPFを実践するのは勇気がいりますが、PFPの集まりの中では気兼ねなく実践してみることができます。
今回も、たくさんの「気づき」を持ち帰ることができました。
ぜひまた参加したいと思います。スタッフの皆様に感謝です。